2010年6月7日月曜日

レオナルド・ダ・ヴィンチ的発想法

レオナルド・ダ・ヴィンチはなぜ、今から500年以上も前、数々の発見や発明を成し遂げることが出来たのだろうか。今回はレオナルド・ダ・ヴィンチの発想法について考察してみたい。


レオナルドのアイディアを記した手記が残されている。レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿と呼ばれるものである。

レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿(レオナルド・ダ・ヴィンチしゅこう)は、レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci, 1452年 4月15日 - 1519年 5月2日)が、約40年間にわたり書き綴ったノートのこと。書き残した全手稿のうち約3分の2が失われ、現存するのは約5000ページと言われている。 ―wikiediaより引用

しかし彼の仮説であるアイディアスケッチはほとんど実現しなかった。それらのエンジニアリングデザインが原理的に間違っていたのではなく、発明に対する最初のアイディアスケッチであった上に、レオナルド自身の多くの発明は、実現のための技術的可能性が何世紀も早すぎたのであった。 
美的設計方法論 高梨 隆雄 ダヴィッド社より引用

この文を見てはっとさせられるのは私だけではないと思う。アイディアの実現のための可能性を証明できなければ、通常はそのブロジェクトは凍結である。今で言えば「仕分け」されてしまうのである。
しかし、この章のもっとも重要なのは、設計(デザイン)のワークフローについてである。通常は、

  1. 現製品(具体)
  2. 設計与条件・・・要求スペックなど(抽象) 
  3. 設計条件・・・製造条件など(抽象)
  4. 設計解・・・設計図(具体)
  5. 新製品(具体)

というワークフローで新製品の開発は行われる。しかし、レオナルドは設計与条件から厳密には製造条件などを考慮しない設計解を出してしまう。これがレオナルド手稿に当たる。これはおそらく「ひらめき」によるもので、設計与条件は満たしているがそれ以上に未知な要素を含み、新しい魅力や発明的要素がここに入ってくるものと思われる。だからこそ、実用化の500年も前にアイディアを出すことが出来たのである。
しかし、当然のことながら、その時点の製造条件を加味してしまうと通常は「ボツ」となってしまう。これこそが現代の閉塞感を生んでいる原因ではなかろうか。

複雑高度化した現代の商品開発の現場ではワークフローの管理はプロジェクトリーダーの頭の中では不可能で、ソフトウェアなどのツールを使って管理されている。もはや人間を管理するのはコンピュータなどの機械になってしまっている。チャップリンの「モダン・タイムズ」そのものである。 レオナルドは天才であったには違いないが、我々普通の人間であっても、本来高い創造性を備えており、それを潰しているのはこのような現代の仕組みにあるのではないだろうか。


参考文献
美的設計方法論 高梨 隆雄 ダヴィッド社

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