2011年3月25日金曜日

飲料水から放射線が検出される・・・対策を落ち着いて考える。

飲料水から基準値を超える放射線が検出された。

1キログラムあたり200ベクレルを少し超える程度ものもだが、ニュスが報道されるや否や、ペットボトルが売り切れ、パニック状態になっている。

今回はこの件について落ち着いて考えてみることにする。

結論から言うと「気にしなくて全く問題はない。」
あえて言うなら、自分自身の機能異常細胞を処理する免疫系の力を高めるようにしておくことだ。

まず、ベクレルという単位だが、1秒間に放射線を出した原子の数とのことだが、
それを聞いた瞬間にあまりの数の少なさに驚くと同時に、放射線の検出精度の高さに感服させられる。

なぜなら、18グラムの水には6.02×10^23個もの水分子が存在しており、そのような数と対比すると、毎秒200個というのはあまりに少ない。

例えば、地球上の海水1.37×10^21kgに、太平洋の真ん中で1kgの放射性元素が放出されたとし、これが仮に瞬時に均等に撹拌され、均等に薄められたとしても、地球上の海水には 1/1.37×10^21kg=7.30×10^-22kg の放射性元素が存在することになる。

面倒なのでこれがすべて水分子だと仮定すると、水分子は1kgで1000/18molであるので、上記の水1kgに含まれる放射性水分子(?)は

7.30×10^-22 × 1000/18 × 6.02×10^23 = 24400 個

つまり、太平洋の真ん中の秘密研究所から漏れたたった1kgの水分子が、地球上全体に薄められたとしても、1kgあたり2万4千個も存在しているのだ。

数十〜数百ベクレルを検出できるということは、放射性物質はこのような微量であっても検出されることを意味する。

個数の感覚はわかったとしても、実際に人体にどの程度影響があるのか気になるであろう。

これに関しては、そもそもラジウム温泉やラドン温泉では数百〜数千ベクレルもの放射能を持っており、飲用する例もあるぐらいなので、それほど神経質になる必要は無いと思われる。たとえば、新潟県 五頭温泉郷 村杉温泉の角屋旅館のページ

ラジウムやラドンとヨウ素は体内での吸収経路が違うので一概には言えないが、そもそも放射性物質は微量だが身の回りや体内に存在しており、生物は古くから微量の放射線を浴びながら進化してきた訳で、放射線によって傷ついた細胞を処理する処理系を我々生物は備えている。

今我々に出来ることは、ペットボトルの買い占めや、浄水器をあわてて買うことではなく、落ち着いて、免疫力を高める工夫をすることだ。

2011年3月15日火曜日

計画停電への備え(冷蔵庫編)

未曽有の大地震が起きた。
管理人は命に別状はなかったが、少しだけ被害を受けた。

いや、大惨事の真っ只中にいる人に比べれば、なんの被害もなかったに等しい。
日本中が大変な事になっている現在、自分に出来ることを考えてみる。

管理人の本職は熱系の技術者であるので、
これからしばらくの間続くことが確実な「計画停電」で最も困ることの一つ
・・・冷蔵庫の機能維持について考えてみる。

3時間程度の停電では冷蔵庫を開けなければ、それほど大きなダメージはないと思われるが、これから暖かくなってきたとき、あるいは、どうしても低温を維持できないと困る物・・例えば、病院で使う薬品類など・・・に対しては以下の対策が考えられる。



◯水は最高の蓄冷剤である。

冷凍機機能を長時間維持するのは難しいが、実質的なヒートマ
スを大きくすることで冷凍能力が断続的に変化した場合でも温度変化を少なくすることができる。よってなるべく実質的なヒートマスが大きい物を利用する。

そして冷蔵庫の温度域でヒートマスが大きい物質はズバリ水である。水を蓄冷剤として利用し、利用の仕方としては融解潜熱と顕熱を両方利用する。

水は蓄冷剤としては非常に優秀でなおかつ漏れたときのリスクも少ない。融解潜熱は333kJ/kgあり、冷蔵に使えるものとしては、ほぼ最大である。ゲル状の蓄冷剤が市販されているが、ゲル化によって対流が抑制され、放熱量が少なくなるため、長時間もつことはもつが、蓄冷剤としてみたときは、ゲル化剤の分蓄冷能力は少ないため、わざわざ買う必要はない。また、顕熱蓄熱として見た場合も、水の比熱は非常に大きく、液体で4.2kJ/(kgK)、固体つまり0度以下で2.1kJ/(kgK)あり、この温度域でこれ以上の物はない。

よって、水を利用した蓄冷剤を使用するのが最も賢いと思われる。管理人は以下の「ペットボトル蓄冷剤」を作り、停電に備えている。ちなみに、蓄熱量は潜熱量+顕熱量×温度差である。温度差はそれほど大きくないのでほぼ潜熱が支配的である。


◯ペットボトル蓄冷剤の作り方

1)作り方
ペットボトル(500ml)に水を85%くらい入れ、冷凍庫で凍らせる。
水は凍ると体積が10%程増大するので、満タンするとペットボトルが膨張し、場合によっては破損する。よって少し空気を残しておく。

2)使い方
凍ったペットボトルを停電の少し前に冷蔵室の上の方に入れる。停電して冷蔵室の温度が上昇すると暖かくなった空気は上方に移動するので、そこで凍ったペットボトル蓄冷剤で冷やすという考え方だ。

一般的な冷蔵庫の漏熱量がどのくらいかデータを持ち合わせていないが、おそらく100W程度のものであろう。とすると、3時間程度持たせるためには、

3×3600×100=1.08MJ となり、潜熱のみ計算すると、水3kg分の潜熱が必要となり、ペットボトル6本程度が必要ということになる。ただし、冷蔵庫に入っている物体や、冷蔵庫の壁面なども蓄冷しているわけで、これほどの量は必要ないかもしれない。あとは実際にやってみて様子をみるのがよいであろう。


◯その他の方法について

冷蔵庫を一時的に低温にし、温度上昇分をカバーすると言う考え方もあるが、温度差が大きくなると、ヒートポンプの効率は著しく低下するのでお勧めはしない。

言うまでもないが、停電中は極力冷蔵庫を開けないようにし、冷気を外に出さないことだ。

2011年3月2日水曜日

欧米の階級社会と企業のマネジメント法の関係

X理論とY理論という言葉をご存知だろうか?
人をマネジメントする手法として知られる言葉だが、
果てしなく簡単に言うと、

●X理論:性悪説に基づくマネジメント
●Y理論:性善説に基づくマネジメント

という感じでおおむね間違っていないと思う。
どちらが良くてどちらが悪いというものは本来無い。

ただ、出来ればY理論が採用されている企業や団体で働きたいと多くの人は思うだろう。

しかしはっきりしているのは、日本企業はほとんどX理論によるマネジメントを採用しているということだ。会社紹介などでいかにも我が社はY理論的マネジメントをしていますと思わせるような記事を見かけるが、これは一種のセールストークであり、真に受けてはいけない。

なぜなら、日本企業はY理論ではうまくマネジメントできなかったために、仕方なくX理論を採用しているのである。マネジメント側が意識しているかどうかはわからないが。

単純労働またはルーチンワークにはY理論はそぐわない。日本企業はひたすら作業内容を標準化し、ルーチンワーク化してきたがために、Y理論を適用すべき創造的な仕事をつぶしてきたのではないだろうか?

さらに、日本には欧米に見られるような支配階級と労働者階級と言った差がほとんど見られない。言ってしまえば、「総労働者階級」に近い。

欧米では支配階級である経営者側がY理論で、労働者階級である単純労働者がX理論でマネジメントされているのではないか?

つまり、幸か不幸か階級意識の無い日本にはY理論を導入するのは無理である可能性がある。

しかし、時代が求めているのは、機械のように勤勉に働いた結果生まれる何かではなく、もっと創造的な何かであろう。イメージとしてはapple社が打ち出してくるような魅力的で驚くべき製品やサービスではないか。

日本が元気になるためにはこのあたりから変える必要があるのではないか??