2010年7月19日月曜日

環境問題と経済と太陽活動の関係

環境問題と経済と太陽活動・・・一見3つがどうつながるのか?という組み合わせだが、ひとりの人物を通じてつながっている。
ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ・・・19世紀のイギリスの経済学者である。


まず「環境問題と経済」に関するものが「ジェボンズのパラドクス」である。
これは簡単にいうとエネルギー効率の良いものを開発しても、売上が伸びてかえってエネルギー消費の絶対値は増えてしまうというものだ。これは日本の製造業には耳が痛い話だろう。実際、家電製品にしろ、自動車にしろ燃費はよくなっているが、全体のエネルギー消費量は大きく伸びている。これは日本が「原単位方式」という相対値での省エネルギー目標を掲げていることでもわかる。本当に省エネルギーを実現したいのなら、EUなどの絶対値で規制値を設定すべきであろう。


次の「経済と太陽活動」はジェボンズが1876年に、科学雑誌『ネイチャー』に発表した「商業恐慌と太陽黒点」という論文である。
これも簡単にいうと太陽黒点活動が活発なときは景気がよく、逆に停滞しているときは景気も低迷するというもの。実際、景気に関しては100年に一度の不景気と言われているが、太陽活動も100年に一度かそれ以上の異常事態が訪れている。(関連記事リンク・・・太陽活動が百年ぶりの活動極小期か

ジェボンズの言うことはどうも2つとも当たっているように思われるが、これらの問題が今後どうなってゆくのか非常に興味深い。

当ブログの解釈は大変な変化が起こるが、これはむしろ人類にとっては機能しなくなってきている古いシステムからの脱却を図る良い機会になるのではないかと考えている。

例えば、経済危機とやらで残業がなくなって世のお父さん方は家族と触れ合う機会が増えたはずだ。これは社会にとっては良い変化だと思うのだが。これを良い変化だと思えないのなら、おそらく人類の将来は暗いだろう。

2010年7月10日土曜日

最新の宇宙論とパラレル・ワールド

パラレル・ワールドとはSF好きでなくても、一度は考えてみたことがある話だろう。しかし、多くの人の反応は現実には決してありえない話として受け止めるだろう。特に、理科系の人間には到底受け入れられる話ではない。

しかし、最新の宇宙論ではこの荒唐無稽とも思えるパラレル・ワールドを肯定するような議論がいくつか真剣に行われている。

ここで本題に入る前に、21世紀を迎え、科学技術は成熟期を迎え、もはやすべてを知り尽くしたがゆえに大きな改善の余地が望めなくなったかのような閉塞感が漂っているが、当ブログではそれを明確に否定したい。

例えば、我々は宇宙にある物質とエネルギー(両者は量的に等価なものとして扱える。)をどのくらい知り得たのだろうか?・・・最近の観測結果によると我々が知っている「物質」は全宇宙のわずか4%に過ぎず、残りはダーク・エネルギー、ダーク・マターであるということが分かってきている。つまり我々は宇宙の(ある意味)たった4%しか(宇宙の果ての小さな岩石型惑星の上にかすかに生息する生命体にしては上出来だが)知り得ていないのである。

つまり、われわれはやっと、宇宙について何も知らないという「無知の知」を認識するに至ったばかりなのである。したがって、人類が繰り出し売る叡智も、宇宙の広がりと同じく無尽蔵に残されているはずである。

さて、パラレル・ワールドの話に戻るが、最近の宇宙論ではいくつかの可能性が取り上げられている。

アレキサンダー・ビレンキン「無からの宇宙創成」という論文では、インフレーション宇宙の中に無数の子宇宙がそれぞれに無数のインフレーションを続けており、我々が観測可能な領域は子宇宙の中の光が届く範囲に過ぎないという。なんともスケールの大きな話だが、宇宙の始まりはあるが、終わりはない。インフレーションは無限に続き、やがて観測可能な範囲の密度は下がってゆく。このモデルでは、他の宇宙の情報を得ることはできないため、その存在の証拠を得ることはできない。

もう一つ、ブレーン宇宙論ではさらに分かりやすい解釈として5次元以上の高次元時空に複数の宇宙が存在するというものである。

パラレル・ワールドが受け入れられにくいことの一つとして、他の宇宙の観測が不可能だということがある。観測ができなければ想像の範疇を出ることはないから、議論しても空しいばかりである。しかし、このモデルが興味深いのは他の宇宙を光で見ることはできないが、重力波は他の宇宙へと伝わることができるというのだ。つまり、パラレル・ワールドの情報を何らかの形で受け取ることが出来るというのだ。

隣の宇宙で激しい重力が発生したら、地球は地震に見舞われるのだろうか?あるいは隣の宇宙と衝突したら・・・となりの宇宙からのメッセージは出来れば、穏やかなものであることを期待したい。