福島の原発の事故が収束が見えない。
原子力は非常に少ない燃料で長時間エネルギーを取り出せるが、一度事故になってしまうと人間の手に負えなくなる。使用済み核燃料でも、数百度の熱を数百年熱を出し続けると、昔会った東芝の技術者が言っていた。
もちろん、この温度では発電効率が悪くタービンを回すには非効率なため、通常発電には使われない。スターリングエンジンや、熱電素子ならそれなりに発電できるだろうが、恐ろしく高コストな発電になるだろう。
そんな核燃料を数週間で収束させようということなどそもそも無理な相談なのだ。
そこで、根本に帰って考えてみよう。
まず、放射線がなぜ有害なのか?
それは体を貫通した放射線が遺伝子を傷つけるからだ。
もちろん、遺伝子が少々傷ついても、それに対応する仕組みを我々は持っている。
傷ついた遺伝子を修復するというよりは、傷つき、修復不可能な遺伝子を持つ細胞を除去するというのが正確なイメージだと思う。
傷ついた細胞のなかには極少数のガン細胞が生まれると考えられる。わわわれの体は100兆もの途方も無いたくさんの細胞から出来ているので、ある程度の数のガン細胞ができてしまうのは仕方がない。問題はそれを処理できない状態になった時なのだ。
では、ガン細胞をより除去しやすい状態にするにはどうすればよいか。
答えはズバリ、「がんばらないこと」である。
なるべくのんびりとリラックスして日々過ごせば良い。
そうすることによって、ガン細胞だけでなく、感染症にも強くなると考えられる。
免疫系には二系統あり、昼間に交感神経優位なときに亢進する免疫系と、夕方から夜間に副交感神経優位なときに亢進する免疫系があると言われている。
昼間の免疫系の主役は顆粒球であり、怪我などで侵入する大型の異物を活性酸素で焼き殺すという少々野蛮な方法で体を守っている。
夜の免疫系の主役はリンパ球であり、ウイルスや細菌、ガン細胞などを顆粒球より手の込んだ洗練された方法で処理している。この時、体温を上げることでリンパ球の能力が上がるため、リンパ球の活躍が必要なときは体温を上げる。
風邪をひくと夕方熱が上がり、朝になると下がるのは、夕方ウイルスが増えているのではなく、夜の免疫系が活発化しているからである。
人間には活発な時期に活躍する免疫系と、休息しているときに活発化している免疫系があるのだ。つまり、人間には活動的な時間と同じくらい休息が必要なのだ。
現代人はいつの日か物事を片側からしか見なくなり、24時間昼間のように活発になれば良いと考えるようになった。当然の帰結として、感染症やガンが増えるのだが、感染症は抗生物質などで免疫に頼らずともある程度押さえ込めた。しかし、ガンはなかなか抑えこむのが難しかったようだ。
産業革命以前、ほんの数百年前までは人類は夜間はおとなしく休息していた。今回の震災は自分たちのこれまでの生き方が正しかったのか再考するいい機会だと思う。